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- 作者:東 浩紀,開沼 博,津田 大介,速水 健朗,藤村 龍至,清水 亮,梅沢 和木,井出 明,猪瀬 直樹,堀江 貴文,八谷 和彦,八束 はじめ,久田 将義,駒崎 弘樹,五十嵐 太郎,渡邉 英徳,石崎 芳行,上田 洋子
- 出版社:ゲンロン
- 発売日: 2013-11-15
ぼくは少なからずこの計画の動向を追ってきていたし、読む前から内容を想像していた。
それでもなお圧倒された。
それほど本書には福島第一原発観光地化計画というだけに留まらないスケールの広がりを感じる。
福島第一原発の事故、そして復興というものはこれ程までにインパクトのあることだったのだということを捉え直した次第だ。
その為の濃密で多彩なアイデア達が詰まっている。あらゆる分析と提案が様々な角度から書かれてある。
計画の内容自体は、これは無理じゃないかなと思う所も正直あるのだけど、これだけの内容が一冊に閉じてある、否、綴じてあることが非常に重要だと思う。
閉じてあるからこそ開かれてある。読んだ誰しもが思考出来るようになっている。
前回の思想地図β『日本2.0』も言えることだけど、これを叩き台にして議論が活性化することじたいが、この計画の始まりとも言えるだろう。
編集長の東浩紀氏は最後に本書とは関係ない個人的な想いと断ってあとがき『旅のおわりに』を書いてあるが、文学と原子力は実は隣り合わせにあるというスケール感は読んでいて唸った。
全編カラーだしグラフィカルで、ポップな装丁で単にマテリアルとしてカッコいい。しかし、そういった魅力と福島第一原発観光地化計画は思想的にリンクしているのである。
真面目な人達だけが真面目な顔して本書を読んだり、被災地を観光するだけでは、真に開かれていることにはならない。真面目な人達だけの復興ではないのだから。
賛否はあれど是非、手にとって読んで欲しい。読まずには何も分からないだろう。
★★★★★