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日本で電子書籍は普及するのかどうか

日曜日, 5月 15, 2011
「紙も電子も」成り立つか…新潮社、全新刊を配信へ(読売新聞)

作者の許諾を得られなかったものを除き、新刊書籍のすべてを電子化していくというのは、電子書籍の普及がまったく進んでいない日本にとって少し期待できる動きだ。

電子書籍のリリース期間は新書発売の半年後らしいが何ともいえないが。

個人的には本をそのまま電子化すると言うこと自体、過渡期というか古くさい発想と思うのだが、いちいち本屋に買いに行かなくても手に入る電子書籍のラインナップが増えるのは良いことだ。

日本で電子書籍が今イチ普及しないのは理由があって、あまりしられていないものも含め一部紹介しよう。

① 電子書籍は実売に対して印税が入る、 紙の本は発行部数に対して印税が入る。

これは最低でも出版数が1000部は刷られることで、ある程度の収入を得られていた今までのビジネスモデルとは全く異なる。

次に、

②日本は再販制度で価格が統一されている。※電子書籍を公正取引委員会は「非再販商品」に指定(アメリカなどはディスカウント販売が普通)

つまり売り手(Amazonやブックスタンド)が値引き販売が出来るということ。

③世界的に見ても書店が多い。(2001年から5000店舗ぐらい減ってはいるがそれでもアメリカの3倍以上!!)日本ではその豊富な販売店を生かした雑誌の販促物(オマケ)の流通網としても書店が機能している。

それ以外にも出版取次の仕事がなくなるからとか内部事情もたくさんあるのだが、電子書籍が普及することによって消費者が受けるメリットの方が大きいのは間違いない。
今後は素人作家なりが増えて書籍数が更に増えることによって編集者は引く手あまたになることは必須なので人気業種になるかもしれない。

ところで先日、雑誌やカタログの方が商品などを比較しやすいという意見を頂いた。
私も現時点で紙が優れている点も勿論理解している。単なる走り書きメモなども含めて。
ただそれは紙がインターフェースとして優れているというだけなので、テクノロジーの進化の時間の問題なのである。
デジタルコンテンツならではのリコメンドしてくれる機能もさらに発展し進化して行くだろうし、趣味思考にカスタマイズされたものを読むのは、自分で探すよりも多くの人の時間の短縮にもなる。
紙媒体は本当に本が好きな人達だけが買うコレクターズアイテムのようになるかもしれない。

米雑誌出版社2位のHearst社と同3位のCondé Nast社もiPadでの定期購読モデルに参加することを表明したように、今まで狭い枠組みの中で守られてきた古い体質が、テクノロジーの普及で競争相手が増え切磋琢磨しないといけないのだが、それは市場原理では当たり前のことなので、日本企業も早く電子書籍を推進していって欲しい。
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