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日本の問題点

火曜日, 8月 30, 2011
震災の問題。復興の問題。原発の問題。円高の問題。デフレの問題。

朝まで生テレビを見た。感想を含め、私が常々思っている日本の問題点について書いておこう。

震災は被災地の資産が22兆円吹っ飛んだのだから経済的チャンスであると田原総一郎氏は言っていた。
チャンスとは様々な意味を含むが震災で失われた住宅、家具、家電などの耐久消費財の需要増を指しているのだろう。
ただそれはエコポイントなどの政策と変わらず(規模は違うが)地震や津波で壊れたから内需に期待出来るということで、産業構造を変える必要のある日本の問題を先送りにしただけで企業が国際的競争力を身につけるにはマイナス要因になるのではないかと私は考える。


ドラスティックな改革なくして、ただ環境を元に戻すって議論は馬鹿げている。
被災者の方々の意見に耳を傾けるべきとは思うが、元に戻す=被災者の希望なのかどうかは丁寧な議論がいるだろう。


猪瀬直樹氏は氏のメールマガジンで国民は戦後から災後に時代認識を切り替えるべきだと言っていたし、白洲次郎氏は著[プリンシプルのない日本]で「戦後は経済的にも地理的にも新しい国になったのであるからには、今の日本としてどういうものがこの国に適した輸出産業であるか、ということをここで考え直すのが大事な問題だと思う。」と書いている。
この本で書かれている戦後は災後に変えてみると今の日本にもピタリと当てはまるのが素晴らしい。日本でこれからも変わらず“重厚長大”企業が伸びていくのだろうか。SONYもTVの国際的コモディティ化で赤字を膨らましているしTV製造関連企業は軒並み赤字だ。
米HP社はPC出荷台数で言えば現役チャンピオンなのだが利益率が5.4%しかないパソコン事業から撤退し、付加価値の高い事業へシフトしていく予定だ。

エクソンモービルを抜いて時価総額世界一位になったAppleはハードウエアの製造はコストの安い海外のEMSに任せているし、MicrosoftはPCを自ら作ったことすらない。

製造拠点は人件費の安い海外に置くのが常識である。製造業に関しての国際競争力はもはや技術力程度しか残っておらず、技術力は会社が保有している訳ではなく技術者が持っている。そして、その優秀な技術者達も韓国や中国の企業に何倍もの給与でヘッドハンティングされている。唯一エンジンに関して強かった日本の自動車産業もEVの台頭により少しずつ沈んで行くと予想される。

書いていて日本に希望が持てなくなってくるが、日本が問題を解決するには簡単ではない。

まずは株式市場の流動性が低い事実を問題視している政治家や企業が少な過ぎるのが問題である。それは企業にとって日本に上場するメリットが少ない → 日本の企業に投資対象が少ない事を意味している。まるで魅力的な商品のないデパートのようだ。

株式市場に流れていない資金が流れている先は、民間企業への投資よりリスクの低い国債である。国債の金利は銀行に預金する金利よりも高い。その低い金利で借りているお金(預金のこと)で銀行は株式よりもリスクの低い国債を買い利鞘で儲けている。

【経済再生にはデフレ脱却って意見は本当か?】...この間の朝まで生テレビでもお金をもっと刷れば円安になりデフレから脱却出来て万事解決みたいな人達が多く見受けられた。評論家や経済学者の中でも非常に多い。有名どころでは高橋洋一郎氏や
勝間和代氏などだが片山さつき氏も同様の発言をしていた。

しかし、色々なデータを調べてもマネタリーベースとCPIの相関関係は強いとは言えない。
だから人為的にちょうどいいバランスでインフレに出来るかはリスクを伴うし、もし失敗しインフレになり過ぎた場合は、長期金利が上がり銀行もデフォルトするのでデフレの今よりもさらに酷い状況になる。なぜか、リフレ派の人達はデメリットを語りたがらない傾向にあるようだ。

そもそも株式市場の流動性が低い原因や、長期金利が上がった場合の問題について一緒に触れるべきだろう。お金を大量に刷ってもお金が直接国民に下りてくる訳ではない仕組みになっているということは触れないのは自身達が資産を保有しているという確信犯?

国民に直接定期的に渡すというのならある程度のインフレするだろう。そして、その場合は政府はきっちりと税金を上げてくるだろう。消費税などの間接税と所得税などの直接税の比率は世界基準に合わせるしかないと私は思う。しかし、年金は消費税上昇分は多少は増える(マクロ経済スライドという仕組みで調整される)が、賃金が上がる保証はなく、結局そのつけは現役世代に負担が強いられることになる。

なので、そういう社会保障の世代間の不公平感をなくすにはベーシックインカムを導入するしかないと私は思っている。

以上のような日本が抱えている問題を解決する為には、ちきりんさん著の「ゆるく考えよう」に書いてある日本はイタリアみたいになれば良いという案も一つの解だと思う。つまり日本のバランスシートを縮小化させるということ。

しかし、日本人がどんどん国際競争力が落ちていくのを我慢し、昔より若干貧しくなるがバケーション文化が根付いたことにより幸福度は高いというような楽観的になれるかどうかはいささか疑問は残る。世界的に見ても勤勉な日本人をそういう国民性に教育するにはかなりの時間を要するだろう。

そうなると不公平でも不満があまり出ないようにするには経済成長するしかない。ただ、これにも改革が必要である。


サラリーマンが新卒で入社し出世をし、後に社長になる企業にオカシイと感じる人は少ない。そんなサラリーマン達の中から代表取締役になったときに「とりあえず儲けが少ない〇〇部門は当社は撤退します。勿論その部門の人達は全員クビです。」なんてなり得ない。
周りに目配せをしやっと上がってきたそのポジションを死守しようとするだろう。そして、そんなサラリーマン社長は常に無難な選択をする。
ある会社の社長の意見はこうだったはずだ。
「6、7年前の小泉政権の頃は株式市場も流動性が高くて外資などに買収されたらどうしようか懸念していたが、今は保有株式もほとんどが持ち合いなので乗っ取られるリスクもないし安心だ。景気が悪くなってもエコカー減税やエコポイントみたいに票田の確保の為に政府が補助金を出してくれるだろうから俺が社長の時代はなんとかなるさ。まぁ天下りも確保済みだしな。」

そんな日本の経営者や政治家を改革していくには証券取引所や上場条件の見直しが急務であると考える。役員に社外取締役の人数を増やすとかして企業は常に監視されてなくてはならない。そういう制度を整備していくしかない。

日産のカルロスゴーンが、就任して大量の社員のクビを切ってしまった事を批判する極左の象徴の管さんなんかが総理になるようでは改革は無理だと思われる。

政治家は法律を企業活動の邪魔にならない用に変えるだけで規制は撤廃緩和する方向性を打ち出し後は市場に任せクビを突っ込むべきではないと思う。外資規制などくだらない制度を作り過ぎである。

話が少し大きくなるが私は全ては少しづつ民間に変えていくほうが良いと思っている。そして競争が促され居住移転の自由がもっと生かされるように進化してほしい。アメリカにはサンディスプリング市のように公務員4人だけでやってる実験都市もある。

岩手県なども復興都市構想でこういう実験都市にして道州制への足掛かりにしてみると良いというのが私の案だ。弱者保護の観点から市場原理主義に反対する人もいるがそれは的外れで余ったお金(暇)があるから大量の経済的弱者がいても保護することが出来るのだ。

長くなったのでここまで。ではまた。



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