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徹底したオプティマライゼーション主義 - 書評 - 『最強ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」日本上陸! 日本版の編集長が語る「売れるWebメディア」の作り方』ミニッツブック編集部

月曜日, 5月 27, 2013
今月、ローンチされたWebメディアハフィントンポスト。
発表当初、朝日新聞が一枚噛んでるということで賛否両論だったが、蓋を開けてみると内容は悪くない。
サイトやアプリの作り自体は非常に丁寧であり、痒い所に手が届くというのがぼくの第一印象だ。

という訳で書評に加え本エントリーは、サービス評も兼ねる。



Kindleでこの本(コンテンツ?)を読んだのは、まだサービス前だった。
気になった理由は3つほどある。


  1. 日本のWebサービスの中では異例に注目されていたこと。
  2. 先日行ったニコニコ超会議2の中で松浦茂樹編集長のハフィントンポストに掛ける意気込みを聞いたこと。
  3. ぼく自身が震災以後メディアの在り方、若しくは新しい形の報道というものを考えるようになったこと。
以上の3つである。
 それらを知る為に下調べに読んだ本書(本コンテンツ!?)は、角川がやっているミニッツシリーズという短編ものだ。
話は脱線するが、松岡正剛は「電子書籍は見る、本は読む」と区別しているそうだ。

低価格、短時間で読める新電子書籍シリーズ『カドカワ・ミニッツブック』開始 (アスキー)
カドカワ・ミニッツブックの価格は100~500円程度で、30分前後の短時間で読めるのが特徴。角川グループ横断で展開され、IT、ビジネス、エンターテインメント、実用、カルチャーなど、各出版社から多様な作品が配信される。
Web記事以上、新書未満の形式のボリューム感は、今の時代を表したものかもしれない。
内容は対談やインタビュー形式でハフィントンポストとはなんぞやに日本版編集長の松浦茂樹が答えるというものだ。

これらについてあれこれ書くよりもまず、ハフィントンポストのサイトにアクセスするかスマートフォンのアプリを入れて是非みてもらいたい。
サービスについては、『まとめのまとめ』という表現は実に上手く、普段からNaverまとめや、Toggeterなどを見ている人には既視感も多いだろうし、それらまとめサービスやBlogos(livedoor)、後は楽天ソーシャルニュースなどの各メディアの良いエッセンスをシンプルで使いやすくまとめた感じである。

一記事辺りの読む時間などもコントロールしてるだろうからか、早見しながらでも中身は把握出来る。
これは漫画や雑誌、あるいはゲームや音楽、その他エンタテインメントやニュースなど、あらゆるのコンテンツがパーソナル端末に揃い可処分時間を競う今のような時代のビジネスには欠かせない視点だ。

クリックからスクロールへ

クリックとスクロールでは、ユーザーが支払う心理的、または時間的コストが全然違う。

既存メディアのウェブサイト、例えば日経などのニュースサイトはPVを稼ぐ為なのかどうかは分からないが、3ページ以上ある記事も少なくない。
そもそもアカウント登録してないと記事すらまともに読めないこともままある。
しかし、クリックで何ページも読んでいくことも、ましてやアカウント登録することは、PCの時代ならまだしも、スマートフォンの時代には、ユーザーを減らす要素しかないと言って良い。

スクロール以上のページを、クリックして先に読み続ける作業は、読む側は非常に面倒くさいのだ。
この問題を有る程度解決するのものに、スマートフォンならPocketやReadabilityなどのオフライン系アプリや、Safariのリーダー機能同等がある。
これにより邪魔な広告などをシャットアウトすることもでき視認性も上がる。
しかし今、時代はさらに次のタームに移ろうとしている。
それはスクロールし過ぎることすら面倒くさいユーザーが必ず出てくるのだ。
これはあらかじめ記事の内容自体に読者が興味がないものほど顕著である。
その為には1コンテンツ辺りを中身を精査して冗長的にならず且つ、中身を把握出来ること(要点がまとまっていること)が重要になる。
 ハフィントンポストがここに目をつけているのはウェブ専門メディアならではであろう。
時代のニーズを把握する能力は、かつては堀江貴文が率いたlivedoorにいた経験も生かされている。livedoorのスピード感は今のNHN JapanからLINEでも脈々と続いている。

「ざっくり言うと」から学ぶ!スマホ時代のウェブコンテンツに最適な「要約」のススメ  (LINE Corporation ディレクターブログ)
livedoorニュースでは、要約の量を「100文字以内、3行前後」と制限しているので元の記事に比べると、文字数は非常に少なくなり、それに比例して読了時間も短くなります。コンテンツの内容がすぐにわかってしまうので、シビアに判断されることになりますが(パッとみて面白くないもの、興味のわかないものは読まれない)、その分、次のコンテンツへの接触機会は増えることになります。要約によって回遊アップにつながるわけです。
上記指摘事項はGoogleでキーワード検索をした最初のページのアクセス数と、次ページ以降のアクセス数の乖離からも見てとれる。
 コンテンツプロバイダーのSEO対策や、アプリケーションの提供元がアプリのランキング上位に食い込ます為に努力していることと全く同じ構造である。

つまり、読者に読んでもらう努力を徹底的にしているか、否かだということだ。

ハフィントンポストの理念は、まだ出揃った感の薄いコンテンツ達の中からでは分からないので、ここでは触れない。
しかし、サイトやアプリ、またはTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアとの連携、そして気に入った記事を投稿する記者をフォロー出来る仕組みなど、ここまで上手くまとめたサービスは日本国内では、ほぼ皆無といっていい。
 この仕組みをアプリ側から変えて変えていこうとしているのが、国内ではGunosyやSmart News、海外では先日Yahoo!から買収されたことでも有名なSummlyなどのアプリ群である。
しかし、提供元であるメディア側からこのような改革をすることは望ましいので、ハフィントンポストをきっかけによりよいサービスや自由な言論空間が発展することを願う。

★★★☆☆
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