0 コメント

好奇心のおもむくままに - 書評 - 『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った』堀江貴文

月曜日, 9月 09, 2013

この手の「本の本」は著者を映す鏡のようで当たりが多い。

「本は読むことを役に立つと思って読んではいけない。ただ楽しむために読め」と『面白い本』の成毛眞も良いし、小飼弾の『本を読んだら自分を読め』も面白い。

著者はこの二人とは対照的で、読んだ瞬間にビジネスで何か出来ないかを条件反射的に考える癖があるという。
完全アウトプット思考型である。

読んだ本の内容も家入一真の『こんな僕でも社長になれた』から始まり漫画も織り交ぜつつサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』まで一気に読ませる。
本好きが読まないところに掘り出し物があるとは著者の弁である。

『超死刑囚伝』では、「北朝鮮のことを揶揄できるほど日本は人権の配慮ができているのか」と投げかけ、「刑務所の中というのは人権の本当の姿が見え隠れする場所でもある」と結んでいたりするのは、獄中にいた著者ならではの視点で印象に残った

また、ネット有名人のPhaの『ニートの歩き方』の項のシメでは、
”多様化”の最先端の生き方を知ることで、今の自分の生き方が、どういうものであるかもわかるだろう。どう生きるかを決めるのは自分自身だが、人がどう生きたかを教えてくれるのは、案外、本だけだったりする。
という言葉がまさか著者から出てくるとは思ってもなかったので驚く。感受性が実に豊かで素直な印象。

バイオパンク』や『天地明察』を筆頭に自身でも読んだことある本も、ある程度あったので、「この本をこう読んだのか。」という発見がいくつかあった。

これは先に書評などで感想を聞いて読むのとはまた違う感覚で面白い。

内容的にやや散漫な気もするけど、そこが著者の雑食性をあらわしていて良いと思う。

巻末の成毛眞との対談も電子書籍についてや、ITサービスはスマホに特化すべきとか、Web界隈の最新の話も多く、どれも切れ味が鋭く面白く読めた。

最後に、このことは著者自信も一部『理系の子』の項で触れているし、前から私自身も思っていたけど、著者のような空気を読まずにエネルギーも行動力もあり、大胆に社会に切り込んでいく意思を継ぐ若い世代がどんどん出てくるようにならないと日本は未来がないと思うのだ。

20代が社長のベンチャー企業とかも、ポツポツ出てきていて活況を見せつつもあるのでそこは期待をしつつ、大胆に社会に問題を投げかけるような人達もどんどん出てきて欲しい。

その為には何か誰にでも分かりやすい希望のようなものが必要である。

オリンピックが日本に決まったのも良いことの一つだろう。オリンピックが決まったことで「今後7年間でどう生きるか」とか、「7年後こんな風になったら良いな」など考えた人も多いのではないだろうか。

★★★★☆

P.S. 1000冊の内容紹介まではいらないのでタイトルだけでも全冊載せて欲しかった。
Share This To :
 
Toggle Footer
Top