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想定されている未来

土曜日, 6月 22, 2013
毎週録画しているサイエンスZERO『“建物倒壊”!最悪シナリオの分かれ道』の回をみた。

”地震!でも震源は遠いしマグニチュードも小さいから大丈夫…。いいえ、その考えは幻想です。地震波が想定をこえて巨大化する驚異のメカニズムに、最新映像で迫ります!”
重要だと思った3つのトピック(耐震基準、地震周期、地層)と、感想を残しておこうと思う。

まず耐震基準。
耐震基準というものは、揺れを考慮されているものではなく横から押した時の強さだけで決められている。むろん地震の長さも想定されていない。
揺れや長さを想定していないとどうなるのか、と言うのを番組では実験して説明していた。
まず地震が発生すると、徐々に柱の周りのコンクリートが剥げる。
しかし、数秒から数十秒の揺れなら中の鉄筋は耐える。それが実験では、1分20秒を超えたあたりから、コンクリートのない状態で曲げを繰り返すと針金のように折れてしまった。
東日本大震災では、東西方向だけではなく南北方向にも6分以上揺れが繰り返された。だから、地震自体の震度もそうだが、長さも重要になる。これに見合った耐震基準を作った場合のコストの試算があるのか調べたけど、震災から2年以上が経過したが未だ検討中のようで、目ぼしいものは見つからなかった。

次は地震周期。
建物の揺れには周期があるこれを固有周期という。当然ながら地震にも周期がある。固有周期と地震周期が合うほど揺れる。
このことを共振という。
調べてみると、
地震の周期と建物の揺れの関係(耐震ネット)
”固有周期は高い建物ほど長くなり、 鉄筋コンクリートの建物の場合では、建物高さ(m)×2%= 固有周期(秒)で概算出来る”
とのこと。
だから高い建物の方が揺れるとか、低いから安心というのは間違いなのだ。

最後は地層。
地震の被害を判断するには、地層も重要である。地面の下に、堆積層があれば揺れは増幅される。
しかし、建物の下にある堆積層は、免震装置で揺れの周期を変えることで被害を軽減出来る。
逆に、海底にある堆積層(付加体)も揺れを増幅させる。 東日本大震災では、東北地方の太平洋沖にあった為、逆に関東平野までの揺れを逃がす役目を果たした。
一方、西日本の太平洋側は、付加体が日本列島に沿って南は鹿児島から北は関東付近まで続いている。
すでに近い将来起こると予想されている南海トラフ地震では、付加体によって地震が海岸に沿って増幅される為、被害は東日本大震災よりも大きいと予想されている。
番組内で取り上げられた数字は100万戸が全壊し、8万人の犠牲者がでるというもの。
気になったので他の報道機関の記事も調べてみた。
南海トラフ「予知困難」 有識者会議、備蓄の重要性強調(朝日新聞DIGITAL)
”最悪の場合、死者が約32万人、負傷者が約62万人、建物の全壊が約239万戸に上る。3千万人超が断水に見舞われ、2700万軒超が停電。経済的損失は約220兆円と見込まれている。”
とサイエンスZEROよりも、かなり数字が高くなっている。何れにせよ、南海トラフ地震に備えて予めあらゆる自体を見直す時期にきているのは間違いないだろう。
以上は、既に発表され想定されているものなので、「自分は知らない、自分は聞いていない、自分は興味ない。」など起こった後で、誰かのせいにすることは出来ない。

話題が変わるが、想定といえば『2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」』という本を読んだ。
内容は、米国国家情報会議が4年に一度出しているNIC Global Trendsという報告書を更にまとめたブリーフィングといった趣き。
なので、コンパクトで冷静に数字化されていて読みやすい。米国のレポートなので世界の中でアメリカの位置についての量が多いが、日本も一部登場する。
この本に書かれている日本は、徐々に衰退していくということだけである。
そういった海外からの想定を、冷静に受けとめながら、「では何をすればいいのか。」と知恵を出して、足りない部分は補いながら、行動するものだけが生き残れるのだろう。と東日本大震災があった直後の記憶が蘇った。

この本については、また後日取り上げます。

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