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時事 - 会社とは誰のものか。

土曜日, 1月 11, 2014
さて前回の続きである。
「会社とは誰のものか。」
 従業員?あるいは社長? 
あっさりと言ってしまうが、 会社は株主(出資者)のものだ。所有権と経営権は違う。 
もう一度、東京電力の主要株主のリストを見てもらいたい。
http://www.tepco.co.jp/ir/kabushiki/jyokyo-j.html より

原子力損害賠償支援機構が筆頭になった今は東京電力は事実上国有化されており、その次は東京都である。 「会社とは誰のものか。」をなぜ理解していないといけないのか。

 通常の企業は事業をするための仕組み(設備や人)の初期投資や仕入れの為の原資を株主から出資、銀行から融資(借金)として受ける。 そのあと、原料を仕入れ、事業を通した成果物を消費者に販売し売上(対価)を得る。 この後の流れは売上の中から仕入れ原価を引いたのが粗利、粗利から従業員へ賃金や事業を維持する為の必要経費を払う。これで残るのが営業利益。
さらに営業利益から銀行の利払いを引いて、営業外収益などを加味して算出するものが経常利益である。最後に残るのは純利益…と続いていくのだけど、大体こういった流れを把握しておけば良いと思う。 

あれ株主は? 

そう株主が得る対価は二つある。 
まずは純利益から再投資先がない場合などに支払われるインカムゲイン(配当)。もう一つは資産上昇益あるいは株価上昇益と言われるキャピタルゲインである。これは企業の業績見通しが予想以上だったり、その後の成長が予想される時に出資したい人が増えるので株価が上がるので既存の出資者が得る利益のことだ。マイナスの場合も無論しかりである。
 つまり消費者に愛されて、従業員もきっちり働いて、無駄もない経営をして、利益を出して、かつ将来に向けた投資がきちんと出来ている企業以外はキャピタルゲインを継続的に得ることは出来ない。 
事業拡大の投資先がなくても利益がない企業はインカムゲインを出すことは出来ない。 つまり、全てが上手く回っていないと株主というものは損をするのである。
株主の為に事業を回すことが結果的に一番効率的なのである。それは従業員や顧客をないがしろにすることとは全く違うのだ。
株式というものはハイリスクである。だからこそリターンも大きいのである。 

と、ここまで書いたら分かって貰えると思うが、現状はどうだろうか。 
東京電力は福島第一原発の賠償や除染の支払いで事実上の破綻状態なのに株を官民共同出資の原子力損害賠償支援機構が買い支え、その他の東京都や銀行、生命保険会社のリスクを守っているのである。あとは従業員持株会がかなり保有していることも見逃せないところだろう。 国民を守るよりも株主を守っているこの仕組は早い所是正されないといけない。まずはリスクの代償を株主がとり、潰して銀行達が損害を被り、コンパクトな状態にして国有化なりすれば良いのである。現状は、なぜか電力料金の引き上げという形で消費者が代償を払っている事態である。いまだに資本主義社会の常識が日本には存在していない。 
儲ける時は散々儲けて、危なくなったら国に支援してもらうというローリスクハイリターンという資本主義のルールを完全に無視した上で既存株主を守るという国の姿勢を主要株主である東京都がどう捉え実行して行くのか。これは今では再上場したJALにも言えたことで日本全体の問題でもある。
しかし、誰が都知事になるのかはまだ決まっていないが、脱原発が争点になるのなら東京電力に繋がり東京都知事はこの問題から逃れることは出来ないのである。
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