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STAP細胞についての所感

土曜日, 2月 01, 2014
さて今回はSTAP細胞についてです。もうニュースで散々賑わっているので、だいたいのことは分かっている人も多いかと思いますが、STAP細胞とはES細胞やiPS細胞に続く多能性幹細胞の仲間であり、今まで(ES,iPS)と違い体細胞に遺伝子やウイルスを加えるというやり方ではなく、ストレスを加えることで初期化(リプログラム)した細胞のことをさします。一次情報として理化学研究所は通常版60秒で分かるプレスリリースという二種類のプレスリリースを出しています。なにより一番重要なことは生物学にとって極めて衝撃的で新しい原理の発見があったことです。
体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除されることを見いだしました。細胞外刺激による細胞ストレスが、分化状態にある体細胞の記憶を消去して初期化する-という今回の成果は、これまでの細胞分化や動物発生に関する常識を覆し、細胞の分化制御に関する新しい原理の存在を明らかにしたものです。細胞の分化状態の記憶を自由に消去したり、書き換えたりできる次世代の細胞操作技術となる可能性が高く、再生医学以外にも老化や免疫など幅広い研究に新しい方法論を提供します。

細胞にとって致死量の弱酸性の溶液につけたり、細い管に通してストレスを与えたあとに培養したら多能性細胞になるなんてことは生物学の常識を完全にぶっ壊している感じが凄いです。

改めて調べてみるとES細胞とiPS細胞がなぜ胎盤に変異できないのかというと胎盤は胎児側と母親側の組織と胎児組織の複合組織で胎児側だけの細胞集団から分化させることができないらしく「なるほど。」と思っていたのですが、STAP細胞ではたんぱく質を加えることで胎盤になるというところまでもすでにクリアしているようです。これはつまりクローンが作れるということだと思うのですが、四倍体凝集法でESやiPSでも細胞由来のクローンは出来ると調べているうちに辿り着き、それはテトラプロイド凝集胚形成法ともいうらしく電気的にくっつければオッケーみたいな話らしいです、(適当ですいません。)ES細胞で散々言われてきた倫理的な問題が出てこないのは受精卵ではないからか、STAP細胞がまだ検証段階だからでしょうか。その辺はシノドスの記事で詳しく解説されています。


なぜSTAP細胞は驚くべき発見なのか――STAP細胞が映し出すもの八代嘉美 / 幹細胞生物学

STAP細胞の作成の成功はまだマウスの新生児の段階での発見なので、ヒトの胎生期間の違いを克服することや、成人の細胞からも作成出来るのか、などが一つの山になるでしょう。

それらをクリアして始めて臨床となるのでまだいくつも課題がありますが、なんせ簡便に作成出来るのらしいので追試もガンガン行われて今年中にも方向性は出てきそうな気配です。要注目のトピックスで目が離せません。上手くいけば再生医療にも癌治療にも革命を起こしそうなので、とりあえず理化学研究所に寄付でもしておこうと思います。
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