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謎から謎 - 書評 -『主役はダーク 宇宙の究極の謎に迫る』須藤靖

木曜日, 8月 22, 2013
実にアクの強い人だ。しかも、かなり。
っというのが読み始めた第一印象だった。著者は専門が理論宇宙物理学の東京大学大学院の教授である。
冒頭から、あの手この手でジョークや皮肉が散りばめられていて、笑ってしまうし、著者は似非科学者、科学哲学者などを馬鹿にし過ぎている点は否めないものの、それが存在感を際立たせてもいる。

内容は宇宙に始まり、粒子、ダークマター、ダークエネルギー、量子力学のコペンハーゲン解釈や著者の専門外だと言う超ひも理論まで、ちゃんと内容のある本だから適当に読んでると読み返す羽目になる。

気になる所は、やはりタイトル通り「主役はダーク」であり、分からないものにも名前を付ける科学という特性上、ダーク(暗黒)と名付けられる二つのダークがある。
まず、宇宙の質量に欠かすことが出来ないから何かが存在していると仮説する物質ダークマター。
そして宇宙の加速膨張を引き起こしているとされるが未だに観測出来ないエネルギーであるダークエネルギー。
この二つに関しては未だに観測記録もなく謎のままである。しかし、あるのだ。
重力は実際に見えないけれど関係性の中に見つけることが出来るように。

不確定性原理で電子の位置が正確に分からないのはミクロの小さな世界から宇宙は未だに謎だらけという大きな世界がシンクロして好奇心を掻き立てる。夏の夜に読むのに好適である。
しかし、著者の文体のアクの強さに途中で振るい落とされそうな読者もいるだろうけど(笑)

★★★☆☆

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