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自由とは状態ではなく自己認識 - 書評 - 選択の科学 シーナ・アイエンガー

金曜日, 6月 06, 2014
選択の科学
  • 作者:シーナ・アイエンガー
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日: 2010-11-12

去年後半辺りからアルフレッド・アドラーの心理学が注目されている。それとは直接関係はないが、社会心理学者の本を取り上げる。著者を知ったのはうろ覚えだが何年か前に見たなんらかの動画である。マジックナンバー7±2などの話が面白くて興味を持っていた。

本書の内容の序盤は著者が心理学者になっていくストーリーも入っている。
その後は人間がする選択についてなのだけど、 日常生活の中でも腑に落ちる点が何点もあって興味深い。

例を挙げると、人間が自由を感じているのかという調査では、熱心な信者の方が無神論者よりも統計的に自由を感じているということ。もちろん地域的なものや様々な違いはあるのだけど、これはなかなか面白い結果である。

これが意味することは、自由とは「自分がどのように感じているか」の問題であって、「何にも制約されない状態」と考えられている本来の自由は自由ではないということである。凄く哲学的な匂いがしてくると思わないだろうか。この部分だけでも収穫であり、あらゆることを考えてしまう。なんだか宗教の本質はその辺りにある気がしてくる。

自分が選択をコントロールしていると認識していることこそが何よりも重要である。環境の良い動物園にいる動物の方が平均寿命が短いという話もそれを裏付ける。これは会社のマネジメントにも通じる話だろう。選択が出来ないものは例え人であれ動物であれ萎縮していってしまう。選択しているいう自己認識が寿命にも繋がっているのだ。目の前に選択肢があってもそれを認識出来ない選択肢は選ぶことが出来ない。

個人的には自分と他を分けているものを拡張すること、簡単に言えば自分と違う文化に触れるなんかも大切だと思う。異文化に触れることで選択肢は増やせるからだ。他人に与えられた選択肢が増えても、実は選択肢が制約されてしまったり選択そのものを放棄してしまうという矛盾が本書にも触れられている通り。

本書は読みながら、様々な問いを立てたくなる本である。興味を持った人はとりあえず下記の著者のTED動画を見て欲しい。本書の内容も触れられているしオススメだ。

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