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描かれていないもの - 映画 - 永遠の0

日曜日, 1月 05, 2014



ネトウヨが大喜びしてるらしいと、友人と話をしたのがきっかけで昨夜は映画をみた。原作の小説は未読である。マンガはKindleで読んでいたりするがまた違う味わい。

内容は、身も蓋もないかもれないけど、岡田准一が演ずるゼロ戦の天才パイロット宮部久蔵が「臆病者!」と周囲に軽蔑の目で見られ蔑まされても生き残ることの重要性を説くことまでは素晴らしいのだが結局、部下の為に犠牲となって自らの命を特攻という形で捧げてしまうという美談である。
周囲も宮部が特攻に反対していただけに、結果を受けて一気に気持ちが持っていかれる訳だ。

自爆テロと特攻の違いは、無差別に人を殺すことと、空母を叩くという使命で全く違うものの、学徒出陣でかき集められた学生達は飛行機の作戦内容については何も教えられてなく最初から特攻の為に調達された。

作戦のほんの数日前に特攻志願書に署名させられた時の心境や、燃料も足りなくて敵の所まで届かないまま死んでいった人達が多かったのは無念だが、それを美しいとする言説は間違っていると思う。

途中で、「特攻に行った者の気持ちは、行ってない者とは雲泥万里の違いがある。」と言うセリフが出てくる。そう言われると何も言えなくなるが、語り続けられることが永遠になっていくということなら精神論ではなく戦争についての生々しい事実まで語り継ぐ方が良いのではと思う。
この作品のように美化するだけでは「過去」にしかならず永遠とは言えない。

観終わった後に友人とも「特攻で突っ込んでいく為に、パイロット達がその精神的狂気を紛らわす為に覚せい剤を使用していた事実とかも描いて欲しかった。」と話したりした。

零型戦闘機が『風立ちぬ』と違い、特にこれといってゼロ戦があまりフィーチャーされていなかったのは少し残念。
戦争の狂気を描かずに一部の視点から描いた凡庸な作品だった。だからこそ正月にぴったりなのかもしれないけど。
きっちり伏線を回収していく辺りの作りは上手いので、終戦記念日周辺にテレビ初登場といった所だろうか。

★★★☆☆

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